2020年2月2日日曜日

ニュース:120年ぶりの民法改正による不動産賃貸業への影響

令和2年(2020年)4月1日に、約120年ぶりに民法が改正されることとなりました。

大きく4点、不動産賃貸に影響を及ぼす改正項目がありますので、それぞれ個別に変更のポイントや業界の対応方針について解説します。基本的には不動産賃貸の現状に民法が追いついた形であり、現状の不動産賃貸に対する影響はそこまでは大きくないと思われます。

また、今回の民法の適用タイミングですが、
 2020年4月1日以降に締結された契約に対して有効
となっています。

それ以前に締結された契約については旧民法が適用されます。

①連帯保証人の保証限度額設定が必要に
②賃借人の現状回復義務が明確に
③賃借人による修繕が可能に
④賃借物の一部滅失等の場合は当然に賃料は減額に

①連帯保証人の保証限度額設定が必要に
 今まで、個人の連帯保証人の保証限度額を定める必要はありませんでしたが、今後は個人の連帯保証人に対しては、保証限度額の設定が必要となります。管理会社各社は、連帯保証人の保証限度額を月額賃料の24か月分とするなどの計算式で、保証限度額を設定するケースも出てくると思われます。しかし、昨今は連帯保証人を設定するよりも保証会社を入れるケースが一般的であったため、本改正が不動産賃貸業に与える影響はあまりありません。
 
②賃借人の現状回復義務が明確に
 こちらも、今まで現状回復義務は個別契約単位で負う形で規定されるケースが多かったため、あまり影響は無いと言えそうです。

③賃借人による修繕が可能に
 適用されるには、いくつか、条件があります。「緊急を要する場合」もしくは 「賃借人が賃貸人に、修繕が必要である旨を通知の上、賃貸人がその旨を知ったにも関わらず、賃貸人がしかるべき期間内に修繕をしなかった場合」です。
 この点についても、多くのケースで必要な修繕は行われていましたが、この③だけは賃借人が事後報告で修繕対応をしてくる可能性があり、他の項目よりも影響が大きいと言えます。

④賃借物の一部滅失等の場合は当然に賃料は減額に
 簡単に言うと、不具合があった際には賃料が減額されます。というものです。この点は各管理会社も、どのような不具合に対してどの程度の賃料減額とするかのガイドラインを設定し始めており、具体的な案が出てきたタイミングで解説致します。今までこの部分は明確な規定が無かったので、あらかじめ規定がある方が、交渉にとられる時間などもなくなり、私は賃貸側のケースの方が多いのですが、この改正もウェルカムです。

こうして見てみると、③と④がわずかに不動産賃貸業に影響を与えそうですが、やはり、そこまで大きく考え方を変える必要は無さそうです。

※本記事は、2020年2月時点での記事です。 本ブログでは、環境変化に対応するため全記事を定期的に更新しています。

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