2020年3月5日木曜日

物件購入プロセス④:聞かないと教えて貰えない、盲点になりがちな物件情報10項目

前回は、物件情報の中にも、そのまま額面通り受け取っても良い情報とそうではない情報があること、また、額面通り受け取ってはいけない情報についてはどのように精査をすることが出来るのか、を記載しました。


今回は、マイソクや物件概要などにはあまり載っておらず、購入判断の前に聞くべきだと思う、盲点になりがちな物件情報を集め、説明を致します。

以下に列挙する情報のうち、一部は重要事項説明書や購入直前に説明があるものなのですが、購入に至るもっと手前のところで把握が出来た方が、正しい判断を行えるため、情報として、万が一漏れていたら、聞いておくべきということで取り上げました。

新築・中古、一棟・区分問わずに聞くべき内容として、記載致します。

こちらから聞かないといけない物件情報の盲点とは?

①管理会社の継続条件について

どの手法であれ、多い話ですが、建物の管理契約が一定の長期契約となっているケースがあります。購入後に解約できないと賃貸経営の自由度が減りますので、管理会社の継続が必須かどうか、何年契約になっているか、確認をした方が良いと思います。※もちろん、うまく行っている場合含め、管理会社とは長く付き合った方が利点は多いと思います。

②その他(清掃や消防設備点検、定額リフォーム等)の継続条件について

一棟物だと清掃や消防設備点検があらかじめ決められていたり、区分マンションでも定額リフォームなどをルール化したり、業者指定しているケースが時折ありますので、ここも継続が必須かどうか、自分で業者を探すことが可能かどうかを確認出来ると良いと思います。※ここも、指定業者が決まっていることが一概に悪いことではありませんが、業者選定の自由度やPDCAを考えると自由な方が賃貸経営はしやすいと思います。

③預かり敷金の有無とあった場合の扱い

中古物件で会話になるケースが多いです。預かり敷金があった場合に、それがいくらあるのか、販売価格に預かり敷金が含まれているのか、含まれていないのか。確認をする必要があります。大規模物件だと預かり敷金だけで数百万となっていることもあります。

④プロパンガス業者との契約の条件

ここは一棟物件に適用される盲点です。プロパンガス業者との契約が何年契約なのか、解除は可能なのかどうなのか、確認をする必要があります。

一棟物件の建築とプロパンガス業者には切っても切れない縁があり、ここは別の機会に説明を致します。ざっくりと説明するとプロパンガス業者が設備(給湯やエアコン等)を負担する代わりに建築会社がプロパンガス会社と長期(10~15年が多い)契約を締結している慣習があります。

⑤サブリース契約の有無や条件について

サブリース契約をしている場合には、現状の賃料がいつまで保証されているのか(次回の賃料改定タイミングはいつなのか)、解約は可能かどうか、解約時のペナルティはあるかどうか、など確認をする必要があります。購入直後に賃料改定があり、サブリース契約を解除しようとすると高額なペナルティがかかった。みたいなことにならないように注意してください。これは、新築でも中古でも確認が必要な部分です。

⑤固定資産税・都市計画税

新築であれば、確定の数字が不明なのは問題ありません。しかし、中古物件であれば購入意思を固める前に把握をしておけると良いと思います。

⑥物件周辺の高低差情報

物件から最寄り駅までの道など、高低差は地図からは読み取れませんので、念のため確認が必要です。現地にいけば、この辺りの認識の齟齬は無くせると思います。

⑦客付時のADの有無と、あった場合のADが何か月分かの把握

ここは中級者でも盲点になりがちな情報ですが、私は極めて重要だと考えている把握必須事項です。賃貸の客付時にはADと呼ばれる成功報酬を支払うケースがあります。(築古や、やや郊外・地方に多いです。都心の区分マンションなどではADはあまり設定されません。)

地方の築古などの場合、また、一都四県でも競合密集エリアなどではAD3か月(家賃の3か月分を賃貸募集の成功報酬で支払う)などもあり得ます。このADを把握せずにシミュレーションをかけると、地方の築古などではシミュレーションと実態の乖離が大きくなりますので、ADの有無とあった場合に何か月分を使ったか、は確実に確認をすべきだと思います。ADではなく、他の名目で成功報酬の支払いを行うケースもありますので、ADを聞きつつAD以外にも支払いがあるものはありますか?と聞いても良いと思います。

⑧土地価格と建物価格の設定

土地の価格と建物の価格については、聞かなくても教えてもらえる部分ではありますが、交渉余地があることをご存じない方は多いかと思います。売る側は、建物が安く、土地が高い方が望ましいことが多いです(特に法人の場合)。また、買う側は、建物が高く、土地が安い方が望ましいことが多いです(減価償却や、消費税還付)。

そのため、私は毎回建物価格を出来るだけ挙げて貰うように売り主と交渉をしましたが、売り主と交渉をする以外にも、売買契約書に内訳を書かない(消費税金額も書かない)という方法もあります。この場合は、土地と建物の金額を固定資産税評価額で按分しますので、価格の調整をすることが難しいときには、内訳を書かない(消費税金額も書かない)という交渉を売り主とするのも良いかと思います。

⑨修繕積立金の積立金額

こちらは中古区分マンションの際に最も重要になってくる項目です。修繕積立金がいくらくらいあるのか、購入直前にはもちろん知ることが出来るのですが、買い付けなどを入れる前のタイミングでこの情報を把握しておけると良いと思います。1部屋あたり100万円を超えていたり、物件価格に対して5%以上たまっていたりすると、私は比較的安心して買うケースが多いです。もちろん、大規模修繕工事直後などは修繕積立金が0に近かったり、数百、数千万円の借り入れがある場合などもあります。借入などがあっても、適正な修繕積立金を取得出来ていれば、そこまで心配する必要はありません。

⑩最寄りの交通機関の時刻表情報

ここは、特に郊外や地方のバス便などの物件の際に注意をした方が良いと思っている事項です。「新幹線駅xxまでバス便15分。バス停まで2分」などのうたい文句を見ると、良さそうな物件に見える方もいると思います。しかし、このバスが1時間に6本くるのか、1時間に1本しか来ないのか、で、この物件の利便性には大きな差がありますので、このあたりも目を配れると良いと思います。もちろん、駐車場が戸数以上あったりする車社会のエリアでは問題ありませんし、そもそもバスのルート変更やルート廃止なども起こり得る話ですので、1時間に6本バスが来るのでこの物件を買っても良い、という判断もやや早計ではあります。

物件購入プロセス、次回は⑤以降について説明をして参ります。

物件購入プロセス
 ①セミナーに参加して物件情報を貰う
 ②物件情報サイトで物件選び
 ③物件情報の中で疑って見るべき箇所とは?
 ④聞かないと教えて貰えない、盲点になりがちな物件情報10項目

 ⑤以降も順次、説明記事をアップ致します。

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2020年3月4日水曜日

書評:不動産投資専門税理士が明かす 金持ち大家さんが買う物件 買わない物件

3冊目の書評です。1,2冊目はよくある全般本ですが、本著は税理士が書いていることもあり、少し税務の面に強い全般本、という印象です。

①基本情報
  タイトル:不動産投資専門税理士が明かす 金持ち大家さんが買う物件 買わない物件
 出版社:双葉社
 発行日:2017年1月
 価格:1,030円
 ページ数:184
 著者:稲垣 浩之
不動産投資専門税理士が明かす 金持ち大家さんが買う物件 買わない物件
②著者の立場
 著者は不動産投資専門の税理士であり、コンサルタントです。1999年に税理士登録、2002年より稲垣浩之税理士事務所を開業しています。私も不動産セミナーに参加をする中で、稲垣先生のお話を何回か聞いたことがありますが、歯切れも良く話の分かりやすい先生だった印象があります。
 これまで2,500人のサラリーマン大家向けに「正しい不動産投資」の啓蒙活動をしており、不動産投資に関する多くの情報を持っておられます。著書の中でも、様々な不動産投資のパターンを分析しているパートなどもあります。

③書評

 先にお伝えすると、私の感想としてはとても優れた本だと思います。大きく3つの理由があります。

 1つ目は、税理士という税金やお金の計算のプロフェッショナルですので、どんぶり勘定ではなく、正確に投資(というかビジネスとして)儲かる・儲からない、の視点で物事を見ています。また、税引き後の最終的な儲けを考えておられます。

 2つ目は、ご自身の経験のみならず、2,500人のサラリーマン大家さんの情報をデータとして持ち合わせており、

 3つ目は、第1章の中で「何のために不動産投資するかが明確な人」を金持ち大家さん成功の条件に入れている通りで、手段先行ではなく、目的・目標ありきで物事を考えています。そのため、あらゆる説明が理にかなっており、また、変な偏りがありません。サラリーマン大家さんの事例紹介コーナーがありますが、規模や利回りや手法では評価をしておらず、目的・目標に向かって着実に向かっているかどうか、で評価をしており、極めて好感が持てました。

以下、全体の流れです。

 第1章 不動産投資の「いま」を知らないと「金持ち大家さん」にはなれない
 第2章 「金持ち大家さん」が買う物件買わない物件
 第3章 「金持ち大家さん」の不動産業者との付き合い方
 第4章 「金持ち大家さん」は知っている、銀行のホンネ
 第5章 「金持ち大家さん」の上手な税金との付き合い方

 第1章は、サラリーマン大家さんにアンケート調査をとった結果を分かりやすく記述しています。35歳~48歳で全体の6割を占めている、年収は500~1500万円の方が中心、個人所有が6割、不動産投資歴は3年未満が多い、物件総額は1億円未満が多い、ローンでかう割合が8割以上、金利は2%以下が半数近い、など多少調査対象の偏りは出ていると思いますが、昨今の不動産投資のプレイヤーの輪郭をイメージするには十分なアンケート調査結果です。

 また、イールドギャップの言葉の解説なども丁寧に入っていました。イールドギャップからの説明で、昨今不動産投資の利回りは下がっているが、金利がそれ以上に下がっているケースもあり、始めるタイミングとして今は悪くない。と説明をしています。この辺り、稲垣先生は不動産業者のセミナーに出入りしておられ、また消費税還付含めてご自身のビジネスもありますので、不動産投資は止めよう、とは書きにくいお立場ではあると思います。

 そして、1章の中でも特に参考になるのが成功条件3つ。です。
  1.何のために不動産投資するかが明確な人
  2.業者や銀行からどう見られているか知っている人
  3.融資審査の必要書類をすぐに用意できる人
 多少、1.と2.3.の条件としてのレベル感が違う気はしますものの「何のために不動産投資するかが明確」であることが不動産投資に取り組む際に最重要であると信じて疑っていない私としては強く共感をしています。

  第2章は、本書のタイトルにもなっているメインディッシュです。金持ち大家さんと言える5人のサラリーマン大家さんを例にとって、
 ・どのような取り組みをしているか(地方か都心か、一棟か区分か、など)
 ・年間キャッシュフロー
 ・成功のポイント
 ・今後買いたい物件、絶対に買わない物件
 ・稲垣先生が考える注意ポイント
 を1事例5ページ。5事例25ページにわたって紹介をしています。

 本書の最も秀逸な部分です。「今後買いたい物件、絶対に買わない物件」は、第一章でも記載されている通りで、その人の戦略次第であるため、人によって答えが異なりますが、それを良しとして事例を紹介しています。また5事例ともにかなり異なる手法を紹介していますので、それなりにパターン分析に使える事例になっている点も、流石という印象です。読まれる際には、ご自身がどのパターンを目指したいかをイメージしながら読むと良いと思います。

 そして、「ダメ大家」についても言及しています。
  1.買う前にシミュレーションをしない人
  2.買った後、何もしない人
  3.家賃収入を浪費してしまう人
  4.物件コレクターになる人 (選定の目線が低くなる点を指摘)
 としており、耳が痛い人(私もわずかに)もいるのでは。と思います。

 第3章は不動産業者の儲けのしくみと、優秀な不動産業者とそうではない業者を見分ける方法などが記載されています。また、不動産業者にはご自身のゴールを伝えた方が良い、接待するつもりで不動産業者とつきあうくらいの方が良い、と書いてあり、私も同意見です。

 この章の最後は、コンサルタントと付き合うべきだ、と記載されております。不動産業者はポジショントークをする。日本のFPは独立系が少ないため、(税理士を含めて)中立のコンサルと付き合うべきだ、と言っておられます。

 第4章は、金融機関の昨今の情勢と融資に対するスタンスや、金融機関が不動産投資家や物件をどのように評価しているのか、の記述があります。全般分かりやすいのですが、少し面白かったのが「汚い通帳」の説明でした。家賃が入ったらすぐに引き出してしまっていたり、返済日の前日や直前に不足分を入金しているような通帳は「汚い通帳である」と書いてありました。

 第5章は、税理士による著書ですので得意分野です。上手に税金と付き合うために経費の考え方や、比較を添えての法人化の判断基準、などを丁寧に記載してあります。

 この章だけで、「経費計上」「税務調査」「加算税」「減価償却費」「耐用年数」「定額法」「消費税還付」「現物出資」「売却益」「長期譲渡」まで、不動産投資に関わる全般的な税金絡みの知識を一気に身に着けることが出来ます。また、不動産投資専門税理士の見解のため、疑いなく読める安心感もあります。

個人的にはかなり良い一冊だと思いました。20冊以上の書評を作成した後に、再現読むべき5冊を選定しようと思いますが、前提でこの本は5冊の中に入ってきます。

④評価(5段階)
 専門性 ★★★★☆ 専門的知識があり、丁寧に説明してくれます。
 正確性 ★★★★☆ 事実に基づいて書かれており正確です。
 再現性 ★★★★☆ 再現できない部分は少ないように思われます。
 中立性 ★★★☆☆ お立場的な限界は少しだけ感じる部分はありました。
 ズバリ!おすすめ度 ★★★★★ この本は読んだ方が良いと思います。

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2020年3月1日日曜日

物件購入プロセス③:物件情報の中で疑って見るべき箇所とは?

セミナー参加後の販売業者からの紹介物件でも、自分がポータルサイトで探した物件でも共通して、「そのまま記載を信じても良い情報」と「疑って見るべき、そしてご自身で精査すべき情報」があります。

そのまま記載を信じても良い情報は、
・築年数
・土地面積
・構造
・現在の間取り
・現在の賃料
などです。

「疑って見るべき、そして自分で精査すべき情報」は、もう少し詳細に見ていきます。疑って見るべき、とだいぶと悪い言葉を使ってしまいましたが、複数の解釈が可能であったり、将来変化する可能性がある情報のため、精査が必要である情報と捉えて聞いて下さい。

ハイライト部分は念のため精査します ※クリックで拡大

・駅からの徒歩時間

これは区分物件・一棟物件ともに、念のため精査しておけると良いと思います。実際の記載ルールよりもかなり短い時間になっているケースが稀にあります。検証方法としては、GoogleMapやYahoo地図などで実際の距離や道のりを測ったり、自分で歩いてみること、です。特にYahoo地図では、高低差や往路と復路の時間の違いも出せますので、坂道の有無なども知ることが出来ると思います。

※実際のルールは、詳細は省きますが、80mを1分とする、とされています。

高低差を見ると41mとなっています ※クリックで拡大

・想定賃料

既に入居中の場合には、現賃料は間違いないと思いますが、新築の場合には想定賃料通りに決まるかどうか分からないため、ご自身にて賃料相場を精査することが必要です。

SUUMOat homeなどの不動産ポータルで情報を見てみたり、REINSの情報を照会してみたり(賃貸履歴情報照会)、賃貸管理会社にヒアリングをしたり出来ると良いと思います。また、首都圏限定ですが『適正家賃.com』という賃料相場シミュレーターもかなりの精度の高さですので活用できるのでは、と思います。

・近隣施設情報

最寄りのコンビニやスーパーが増えたり減ったりは、それなりに高い確率で変化するものです。特に入居付けの際に重要な、大学や工場、病院の移転なども、ありえない話ではありませんので、要注意です。

対策ですが、入居付けの際に、特定の大学などの施設に依存している物件であれば、購入を控えたり、移転の可能性をネットで調べたりなどしてみると良いと思います。

・眺望

眺望も将来的には変化をしてしまう可能性があります。海やスカイツリーや富士山などの特別な眺望の物件については、眺望が変わっても価値がある物件かどうかを見極めて購入の判断をする必要があります。

・管理費/修繕積立金

これらは、現在の情報としては疑って見る必要はありません。ただ、将来的にどのような計画になっているかは事前把握の上、購入の判断を行って下さい。

資料に書いていない重要な情報については、ヒアリングをするしかないのですが、それらの情報については次回まとめます。

物件購入プロセス
 ①セミナーに参加して物件情報を貰う
 ②物件情報サイトで物件選び
 ③物件情報の中で疑って見るべき箇所とは?
 ④以降も順次、説明してまいります。

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2020年2月29日土曜日

物件購入プロセス②:物件情報サイトで物件選び

 不動産投資の戦略が固まったタイミングや、固まりそうなタイミングになったら、具体的な物件購入プロセスに入ることになります。最初のプロセスである物件選びについて、選び方や、注意点などを説明致します。

物件選びは、
セミナーに参加して物件情報を貰う
・物件情報サイトで物件選び
と大きく2つのやり方があると思います。

今回は物件情報サイトでの物件選びについて説明致します。

 物件選びは個人的にはとても楽しいプロセスです。このプロセスを経る過程では、「物件を探すこと」以外にも、「相場観を養うこと」「情報の中で疑うべき部分があることを知ること」なども意識する必要があります。

 物件選びをしている中で、自分の戦略がブレそうになることがありますが、そのブレが正しいブレかどうかについてもご自身と対話をしながら、物件選びのプロセスを楽しんで下さればと思います。

物件購入プロセス:物件情報サイトで物件選び
 
 ご自身が狙う物件を物件情報サイトで抽出します。エリアや、築年数、平米数、駅からの距離などで検索を行います。多く使われているサイトは以下の通りです。それぞれのサイトの強い領域とそうではない領域などがありますので、うまく使い分けて下さい。

 検索時には、希望の条件の物件よりもわずかに幅広に検索することをお勧めしています。多くの物件を見ることでご自身の相場観が養われていくことと思います。 築年数などは10年以内を狙いたい場合には15年以内などで検索したり、平米数なども前後5㎡程度は広げて検索をすると良いのでは、と思います。また、駅からの距離や構造など、どうしても妥協をしたくない/できない項目は厳密に検索をかけても良いかもしれません。

 希望の条件を入れて検索をすると、相場から外れている掘り出し物に見える物件が見つかることがあると思います。本当に掘り出し物であるケースもごくまれにありますが、相場から外れている物件はそれなりの理由があることが殆どです。

相場より安い物件の特徴は以下の通りです。
 ・所有権ではない(借地権など)
 ・再建築不可である
 ・用途地域が不動産投資には使えない(資材置き場など)
 ・道路付けが良くない(狭いなど)
 ・違法建築である ・告知事項がある
 ・埋設物が存在する(特に土地の場合)
 ・隣地境界線が確定していない
 ・形が良くない(特に土地の場合)
 ・がけ地など、そのままでは建物を建てられない(特に土地の場合)
 ・急坂などがある
 ・管理費や修繕積立金などが異常に高い(特に区分の場合)
  など

※上記の特徴がある物件であっても、致命的問題があるわけではありません。しかし、購入する目的や、購入方法次第では購入が出来なかったり、控えるべきケースがありますのでご注意下さい。

物件情報サイトの代表例 ※サイト名をクリックするとリンクできます。

物件情報サイト 投資用区分物件 投資用一棟物件 自己居住用物件
楽待
23,000

24,000
×
健美家
16,000

20,000
×
SUUMO × ×
250,000
at home
23,000
区分+一棟

23,000
区分+一棟

350,000
HOME'S
16,000

6,000

330,000

 物件選びですが、どのような物件がいつ市場に出てくるかは分かりませんので、検索条件を保存して定期的に情報を得られるようにしておくことをお勧め致します。

 また、数百件も検討していると相場がわかってくると思いますので、ある程度自身がついてきたら、即アクションをとれる準備をしておけると良いと思います。

楽待は検索項目も多く使いやすいです

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物件購入プロセス①:セミナーに参加して物件情報を貰う

 居住用の物件選びと異なり、不動産投資用の物件については、セミナーに参加をして物件情報を貰う事の方が多いかもしれません。今回はセミナーへの参加方法と、セミナー参加後に物件情報を貰う場合の注意点などを説明致します。

 物件情報サイトで物件選びを行うやり方やその時の注意事項は物件購入プロセス②:物件情報サイトで物件選びにて説明をしています。

物件購入プロセス①:セミナーに参加して物件情報を貰う

 セミナーに参加する方法はさまざまですが、最も多いパターンは楽待や健美家などの不動産投資情報ポータルサイトのセミナー情報ページからのセミナー申込です。他に、「不動産投資 セミナー」などで検索しても出てくるかと思います。

・楽待の不動産投資セミナー情報ページ(リンクはここをクリック
  
楽待のセミナー情報ページ


・健美家の不動産セミナー情報ページ(リンクはここをクリック

健美家のセミナー情報ページ
これらのサイトのセミナー情報ページから、自分が行きたいセミナーを選んで行ってみて下さい。ほとんどが無料ですので、積極的に申し込みをすると良いと思います。

 私はものすごい数(もちろん3桁以上です)のセミナーに参加をしてきていますが、セミナーに申し込む時と、参加した際のポイントや心構えについて説明致します。

セミナー申込時のポイント 

・出来るだけ多くのセミナーに参加をする

 最低でも5回、可能であれば20回くらい、異なるセミナーに参加すると、不動産投資セミナーというものがどういうものなのか分かってくると思いますので、我慢して5回はセミナーに参加をしてみて下さい。

・(戦略や手法が固まっていても)自分の戦略と異なるセミナーにも参加する

 セミナーは無料のものが多いのですが、ビジネスなので当然ですが、セミナー主催業者のビジネスへ誘導することを目的に開催されています。そのため、ほとんどのセミナーは多少偏りのある内容が多くなっています。そのため、仮にご自身が「都心・新築一棟」と戦略を固めていたとしても、敢えて「都心・中古一棟」や「地方・戸建て投資」などのセミナーにも参加できると良いと思います。

 また、もし興味が無くても、民泊や時間貸しやコインパーキング投資、太陽光投資、コインランドリー投資などの情報も得ておけると良いと思います。

・セミナー申込時に、諸状況は先に伝えましょう

 現在の資金計画や、自分がどのような目的・目標をもって不動産投資に取り組んでいるのか、など、セミナー申込時に先んじて伝えた方が、その後のやりとりの質を高くすることが出来るかと思います。

セミナー参加当日&参加後のポイント

・とにかくまずはきちんと聞く,素直に聞く

 遅刻や居眠りをする方はいないと思うのですが、セミナーに参加すると遅刻して入ってくる方が相当数いましたが、このセミナーをきっかけに大きな金額の取引を行う可能性があるかもしれない出会いですので印象は良くしておけると良いと思います。

 また、斜に構えて参加する方も多いように見えました。もちろん、不明点は徹底的に質問して解消をした方が良いと思うのですが、上から目線で的外れな質問を繰り返す方も見たことがあり、注意したいな、と自分も思いました。

 無料セミナーは、主催業者のビジネス獲得を目的に開催されているのは当然のことですので、多少、情報や考え方に偏りがあるのは当然と捉えて聞いた方が良いと思います。セミナーを聞きながら、主催業者はどのように自社のビジネスに誘導をしようとしているのか、逆算しながら聞いてみるのも良いと思います。

・良し悪しは判断しましょう

 素直に聞きつつも、最後に高額の年会費の話が出てきたり(必ずしもそれが悪いものとは限りませんが)、 手法としてあまりにも危なかったり、当日に決断を迫ってくるようなセミナーは、概して望ましくないものが多いように感じています。少し違和感を感じた際にはキッパリと断ることも重要です。

・名刺交換はきちんとしましょう

 よほど、良くないセミナーだと思った場合などを除けば、名刺交換はきちんとすべきだと思います。相手に名前を覚えて貰い、こちらも相手の名前はきちんと覚えるようにしてください。また、

・(必要があれば)次につながるようなアクションを取りましょう

 納得できるセミナーであったり、話を進めたいと思った場合はセミナー終了直後にメールを送れると良いと思います。また、セミナー時、もしくはセミナー後に具体物件の紹介を受けたら、まずは紹介された物件に対してストレートにご自身の意見を伝えてあげて下さい。「まだ、やるかどうかも決まっていない」「他も見てからにしたい」でも、構いませんので、最低限は返事を、また、断ることは一切問題ありませんが、断る理由なども明確に伝えた方が相手のためにも、ご自身のためにも良いと思います。

・(必要があれば)ご自身の情報はきちんと開示しましょう

 不動産投資の世界に慣れていないと、いきなり「年収」「借入金」「家族構成」「勤続年数」「勤務先」などの質問が来ると、 面食らってしまうかもしれませんが、不動産投資の世界では上記の情報は名札に書いて主催業者に見せるレベルの基礎的な情報です。主催業者も最低限、上記のような情報がなければ物件紹介・提案の精度が低くなってしまいます。

 また、希望物件、最低限の条件などもこちらから先んじて相手に伝えられると良いと思います。その際、「田舎」「郊外」などの曖昧な表現ではなく、具体的に「〇〇県」「〇〇区・〇〇区」「駅徒歩〇分」という表現をした方が良いと思います。

・参加の記録や感想をメモしておきましょう
 セミナーで説明を受けた資料や、紹介を受けた物件などはきちんと保管し、また、セミナーの感想はご自身の中でメモを残したりしておけると良いと思います。

企業勤めで家族持ちの方などにとって、土日のセミナーに数時間参加することは大変だと思いますが、将来的に家族を支える不動産投資のためのセミナーですので、積極的にセミナーに参加し、知識・理論武装を強化していってください。

セミナーではなく、物件情報サイトでも物件を選ぶことは出来ます。物件情報サイトでの物件選びの注意点を以下にまとめてみました。

物件購入プロセス②:物件情報サイトで物件選び

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2020年2月28日金曜日

書評:【実録不動産投資】普通の会社員だった私が、家賃収入4000万円のアパートオーナーになって脱サラするまで

書評、二冊目の書評をお送りいたします。まだ、二冊目でもあり、今回も暫定評価です。

①基本情報
 タイトル:実録不動産投資】普通の会社員だった私が、家賃収入4000万円のアパートオーナーになって脱サラするまで
 出版社:ゴマブックス株式会社
 発行日:2018年5月
 価格:715円
著者:木村 拓也

②著者の立場
 41歳のサラリーマンをやっていた当時から不動産投資を始めて、10年程度の短期間で大規模な大家さんとなった方です。現在は不動産投資と同時に、不動産投資を教える立場として、代表者としてコミュニティ運営をしておられます。本著の後半にも「レバリッチスタイル」という言葉が出てきています。このコミュニティは高くない会費で毎月、丁寧にセミナーを行うスタイルで、初心者にはお薦めなコミュニティです。

実録不動産投資 長いタイトルです

③書評
 前回に続き、本著も「全般」本です。やはり、不動産投資本の世界は「全般」本が多いです。(私のブログも「全般」ブログです。)タイトルにも”実録”とありますが、前半は著者の不動産投資家としての道筋が写真とともに紹介されています。その後に目次がはじまり、著者の理想とする買い増しステップに従って各手法の説明がなされていきます。
 推奨しているステップですが、ご本人の経験をトレースするように、物件価格2000万円までの中古ワンルームマンション購入⇒数千万中規模一棟購入⇒1億以上一棟購入、というステップです。既にこのステップはセオリーに近いものかもしれませんが、一冊目の書籍「ゼロから始める不動産投資」に極めて近いステップ論でした。

 このステップに織り交ぜながら、成功ルールを10個に絞って説明をしています。
1.自己資金は全て使わなくていい
2.それぞれの物件のメリット・デメリットを良く知る
3.良い物件を購入するためには、エリアに詳しい販売管理会社を選ぶこと
4.投資効率が良い1棟買いで試算を増やす
5.1棟買いは物件の立地選択に最大限の力を注ぐ
6.金融機関との交渉術を学べ
7.キャッシュフローをきちんと考えよ
8.出口戦略を考え、資産を増やす
9.さまざまなトラブルマネジメントを考慮しておく
10.不動産投資ならではの節税やお金の流れを知る
 という10個のルールについて手短に分かりやすく説明がなされていきます。2.のルールでも、地方と都心、新築と中古など、良く出てくる軸でメリットとデメリットを説明しており、(良い意味で)言い切りになっていないところに好感が持てました。この2.の部分は本ブログに詳しい記事があります。
それ以外のルールも目新しいものはありませんが、一般的なセオリー、かつ多くの人にあてはまる内容が書かれており、この本を読んでおけば大きく道を外すことは無いように思います。

良著だと思うものの、ご本人がコミュニティ運営をしているという事情もあり、具体的な情報(固有名詞や数字)は、そこまで詳細には出てきません。出版自体はコミュニティ代表者としての箔をつける目的と、コミュニティの権威付けの意味合いがある書籍のようには見えました。各手法に「キムラ式」という名前をつけておられますが、この名前をつけるような独特な手法や目線の話は出てきません。

④評価(5段階)
 専門性 ★★★☆☆
  専門家ではありませんが、知識や経験含めて内容に間違いはありません。
 正確性 ★★★★☆  不正確と思われる情報は皆無です。
 再現性 ★★☆☆☆  時代が違う事もあり、最初の中古ワンルームくらいまでは2020年の今でも再現性が高いと思われますが、一棟RCを連続で買うことなどは2020年の今ではハードルが高いように思います。
  中立性 ★★★☆☆
  中立性は低くないものの、やはり書籍を出している背景は見え隠れしています。情報は、一般向けかつ間違っていませんので、その点では安心して読んでください。
 ズバリ!おすすめ度 ★★★☆☆

まだ1冊目ですので、暫定評価、です。


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2020年2月27日木曜日

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物件購入プロセス④:聞かないと教えて貰えない、盲点になりがちな物件情報10項目

前回は、物件情報の中にも、そのまま額面通り受け取っても良い情報とそうではない情報があること、また、額面通り受け取ってはいけない情報についてはどのように精査をすることが出来るのか、を記載しました。 物件購入プロセス③:物件情報の中で疑って見るべき箇所とは? セミナー参加後の販...